衆院選の争点を考えよう④ 原発その1

どもどもー。くまぽろです。
しょっぱなから、原発の絵がゆるくてすみません。

さてさて今回は、衆院選の争点の1つである、原発を今後どうしていくかを考えるために、まずは原発についての理解を深めていきたいと思いまーす。

いまの電力供給はどんな感じ?

原発について考える前の前提知識として、いまの電力供給ってどの発電方法がどれくらいの割合を占めてるかわかりますか?

経済産業省の資源エネルギー庁っていうところが、エネルギー白書2017というまとめを出してるので、そこからグラフをとってきました。
日本国内の各電力供給の割合のグラフです。

グラフを見て、「もうちょっとキレイな色で塗ればいいのに…」と思っちゃった。まぁ、いいや。

一番右に%が書いてあるのが、2015年度の数字です。

多い順に書いていくと、
石油が41.0%、石炭が25.9%、天然ガスが24.3%、新エネルギー・地熱等が4.9%、水力が3.6%。
原子力発電は微々たるものすぎて、見えない。

この上位3つの石油、石炭、天然ガスは、燃料で区別されていますが、すべて火力発電です。
つまり現状は9割が火力発電なんですね。

新エネルギー・地熱等には、グラフ下に書いてある通り、太陽光・風力・バイオマス・地熱などが含まれます。
まだ5%ですが、ちょっとずつは増えてきています。

原子力発電に注目して見てみると、1995年くらいから15年間は11〜12%くらいの時代があります。
でも、東日本大震災があった2011年に、ぱったりグラフから消えています
福島第一原子力発電所の事故により、他の原発も安全審査のためにすべて停止したからです。

現在は審査に通ったものから少しずつ再稼働してきていますが、今ある原発がすべて稼働するにはまだまだ何年もかかりそうな感じです。

ちなみに、世界の原子力発電の割合が高い国ランキングもありました。フランスが原発先進国なんですねー。
 
 
衆院選でもこの原発の今後をめぐって、意見が分かれています。
なぜ意見が分かれるかというと、やはりメリットとデメリットがあって、その評価が人によって分かれるからですね。

じゃあまずはメリットはどんな点か見てみましょー。

原子力発電のメリット

・燃料が安定して確保できる
火力発電の燃料も、原子力発電の燃料であるウランも、日本は海外からの輸入に大きく頼っています。
ただ、ウランは石油に比べて政情の安定した国々(オーストラリア、カナダなど)に埋蔵されていることから、資源の安定確保が可能と言われています。

原子力発電のことを準国産エネルギーと言ったりするのをちらほら見かけるんですが、わりとアメリカに近しい国から輸入している割合が多い、というくらいなので、現状では準国産は言い過ぎな気がします。

ただ、使用済み燃料の再処理が国内でできるようになれば、準国産と言えるようになるかもしれません。再処理は国内でも少しやっていますが、今のところは主にイギリスとフランスに頼んでいる状態です。

・CO2を排出しない
火力発電は燃料をガンガン燃やすわけで、どうしてもCO2を排出することになりますね。
その点、原子力発電はCO2を排出しないので、温暖化対策になります。

また、窒素酸化物や硫黄酸化物といった大気汚染の原因となる有害物質も排出しません。火力発電だと、酸性雨や光化学スモッグなどの原因となるこれらの物質を排出してしまいます。

・コスパが良い
原子力発電は、他の発電方法に比べて、少ない費用で多くの電力を生み出せます。
それから、発電コストに占める燃料費の割合が、火力発電などほかの発電方法に比べて低いので、燃料費の高騰によって発電コストが上昇してしまうのをある程度抑えることができます。
 
 
つまり、安定して大量に安いコストで発電できて、環境汚染が少ない
これが原子力発電の良いところです。

では、デメリットはどうでしょう?

原子力発電のデメリット

デメリットはご存知のとおり、一言でいうと「危険性」。これに尽きます。

・事故が起きたら、放射性物質が放出されてしまう
放射性物質が外に放出されてしまうと、土壌や海洋が汚染され、人間や動物も被曝してしまいます。

たくさん浴びると「急性障害」と言って、命を落とす場合があります。命はとりとめても、重度のやけど、脱毛、発疹、皮下出血、リンパ球や白血球の減少、下痢などの症状が出ます。

浴びる量が少ないと、すぐに目に見える症状は出ませんが、長い時間を経過してからガンなどの影響があらわれるものを「晩発性障害」と言います。

・事故後の修復が大変
一度事故が起きてしまうと、放射線が高レベルで出続けている間は、修復しようにも近づくことができません。このため、作業にかなりの時間を要することになります。

現在の福島第一原発の廃炉処理のための調査なども、遠隔操作のロボットでやっていますよね。
廃炉の完了までは30〜40年ぐらいかかるのではと言われています。

・津波の被害を受けやすい
これもまさに福島第一原発がそうですが、冷却に大量の海水を使う場合は、海の近くに原発を設置する必要があります。
日本は地震大国なので、津波も発生しやすいです。
もちろん津波対策の防波堤はありますが、福島の場合はそれを超える津波が来て、事故が起きてしまいました。

・ほんとはコストが高い?
「えー、さっきコスパ良いって言ったじゃん!」て感じですよね。
でも、もろもろ全部考えると、果たして本当にコスパがいいのか、びみょうなようです。
安定して稼働していればいいのですが、事故があった場合のその後の処理や、事故がなくても耐用年数が来て廃炉にするとなると、かなりの費用がかかります。

でも、事故や廃炉にする場合を考えるなら、原子力発電だけに限らず、他の発電方法でも同様に考えて比較するべきですよね。
そのトータルなコスパについてはちょっと詳しくはわからず。
 
 
その他、テロなどで攻撃対象になることを不安視する声もあります。
実際外国では、テロの首謀者が原発への攻撃を考えていたことも判明した、ということがありました。
 
 
調べていくうちに、話が長くなってしまったので、今日はこのへんで。
原発について基礎知識が理解できたので、明日は各党の意見を見ていくことにしましょー。

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