衆院選の争点を考えよう⑤ 教育・子育て

こんにちはー。くまぽろです。

今回は、どこの党も充実させていく方向を謳っている、教育や子育ての分野について見ていきたいと思いまーす。

各党の公約は?

それでは、さっそく各党の主張から見てみましょー。

自民党
・平成32年度までに3~5歳の幼稚園、保育園の費用を無償化する。0~2歳も低所得世帯を無償化する

・待機児童解消のため平成32年度までに32万人分の保育の受け皿を整備する

・低所得家庭の子供に限り高等教育の無償化を図る。給付型奨学金や授業料減免措置を大幅に増やす
 
 
公明党
・平成31年までに全ての0~5歳児の幼児教育、保育の無償化と年収590万円未満の世帯を対象にした私立高校授業料の実質無償化を目指す

・給付型奨学金の給付額や対象枠を拡大し、大学などの教育費負担も軽減する
 
 
希望の党
・保育園、幼稚園の無料化と、返済不要の奨学金を増やす

・待機児童ゼロを法的に義務付ける
 
 
日本維新の会
・幼児教育の完全無償化。私立高校の実質無償化。大学の授業料無償化

・経済的理由で教育を受ける機会を奪われないことを憲法に明文化する

・認可保育所設置基準は原則、条例で決められるようにする

・子供の数が多いほど税負担の軽減が大きくなる世帯単位課税の採用
 
 
立憲民主党
・保育士、幼稚園教諭、介護職員らの待遇改善

・社会全体で全ての子どもの育ちを支援。児童手当や、高校などの授業料無償化は所得制限を廃止。大学授業料の減免、奨学金の拡充
 
 
共産党
・児童手当を拡充し、現在、中学卒業までの支給期間を18歳までに延長

・幼児教育・保育の無償化を待機児童解消とともに推進。小学校就学前の子どもの医療費を所得制限なしで無料化

・義務教育で、授業料や教科書しか無償でないのはおかしい。その他の教育費負担も解消。高校授業料も完全無償化

・大学学費を国公立も私学も半分に引き下げる。給付型奨学金を抜本的に拡充
 
 
社民党
・保育料や幼稚園授業料の負担軽減を図りつつ、無償化をめざす

・保育の質の向上と量の拡大を車の両輪ですすめ、「待機児童ゼロ」を実現

・保育士等の給与を当面月5万円引き上げるなど、保育・幼児教育従事者の待遇改善を図る

・公的教育予算を国際標準のGDP5%水準に引き上げる。私学への助成を拡充。小学校30人以下学級の早期完全達成と教職員定数の拡大

・高校授業料は私立高校も含め直ちに無償化

・高等教育(大学、大学院等)の学費は、将来的に無償化を目指し、段階的に引き下げる。奨学金は無利子を原則とし、給付型奨学金の対象・水準を拡大。返還中の方の負担軽減・免除策を導入
 
 
日本のこころ
・育児休暇制度等の制度・運用の充実

・扶養する子供の数が多いほど税制上有利となる制度の検討等子育て支援制度の充実

・保育士への支援拡大
 
 
※各党の公約を参照しているので、まとまった公約がない、民進党と自由党は割愛します。
大きな方針としては、他の党と同様、教育無償化を進める方向性と思われます。

どう思う?

こんなにみんな「教育無償化」って言ってるの、すごいですよね。
財源の計画がどれくらいできているのか、という点ではかなり違いもあるかと思いますが、どの党も教育無償化に力を入れていく方針はいっしょみたいです。

次世代を担っていく子供たちの教育に力を入れよう、というのは、たしかに誰もが賛成することだと思います。
ただ、
「無償化」することがほんとにいいの?
っていう疑問、ありませんか?

幼児教育はすでに世帯収入や子供の数によって応能負担となっています。
その家庭の負担を無償化して、多少はその分が消費に向かうかもしれません。つまり多少は税収として還元される。
財政に余裕があるときなら、そういうことをしてもいいのかもしれません。

でも別にそれって、今後の労働人口や生産性向上を見据えての教育の質のアップには、あまりつながってなくないですか?

いろいろ読んだ上で、わたしの結論としては、無償化よりも、保育士の数と質を改善する政策に投資すべきではないかと思いました。
そのためには、とりあえず保育士の給料の低さを改善するのが一番妥当な気がします。
 
 
考えた道順をまとめると、こうです。

知識や教養、考える力があることが、働く際に生産性を高める上で、とても大事。
→教育だいじ!

→学力はすでに小学校入学時点で差がある。
幼児教育だいじ!
(もちろん他の教育過程もとっても大事だけど、早い段階のほうが費用対効果が高い、と思うわけです)

→どうしたら幼児教育の質を上げられる?

→日本の保育士1人がめんどうを見る子供の数は、他の国と比べてすごく多い(下記の参考リンクの一番目の記事参照)。
つまり、子供1人に多くの労力を割り振れない。
さらには、待機児童も潜在的に34万人とか85万人とか言われている。

保育士めっちゃ足りてない!
特に、首都圏、近畿、九州などの人口の多い地域で。

→足りない原因は、保育士の給料の低さのせい?

全職業の平均月収は、30.4万円。保育士は22.3万円(平成28年度の賃金構造基本統計調査による。手取りじゃなく、額面)。
保育士の資格を持っているけど、働いていない人は約70万人。

給料が高くなり、保育士が増えれば、
待機児童が解消できて、働きに出られる人が増える!
子供の数に対して、保育士の先生の数が増えれば、質の向上もはかれる!

どうでしょう?一石二鳥な気がしません?
もちろんそんな簡単にうまくいくかはわからないし、保育士の数を増やしただけでちゃんと質の向上になるかも未知数ですが…

でも、方向性としては無償化にお金を使うより、いいんじゃないのかと思います。
いまは選挙でわかりやすい消費者への恩恵が前面に出てると思うので、無償化をみんな謳っているけれど、ここらへんもっと国会で議論してほしいです。
 
 
また、高校の無償化や、大学の無償化についても、ちょっと疑問に思います。

たしかに貧しい家庭で大学にいくことを断念してしまうのは、その子にとっても社会にとっても損失だと思うのですが、だからって誰でも行けちゃうようにするのはどうなの?と思います。
ちゃんと努力してそれなりに学業成績をおさめていることなども、判断の材料にしていいのでは。

そして、とにかく財政難なわけで、
やることを決めると同時にやらないこと・保留することも考えて決めるべきだと思います。
だってお金ないんだもん。一番重要なところにだけお金使うべきですよね。

考えはこんなところです。以上!

参考リンク

特に一番目の記事は、意見だけでなく統計データもいくつかでてきて、とても勉強になっておもしろかったので、時間があるひとはぜひ。

日本には「教育無償化」が本当に必要なのか? 徹底図解で考える -現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52467

高等教育無償化は、一体何を目的に行うのか -東洋経済
http://toyokeizai.net/articles/-/187996

各党が公約に掲げる「教育の無償化」は、同時に「教育の質」の改善が不可欠 -ハフィントンポスト
http://www.huffingtonpost.jp/atsuko-kaizu/school-system_a_23239797/

安倍・自民党の幼児教育無償化 保育の専門家たちが「ちがうだろーー」 -AERA dot.
https://dot.asahi.com/dot/2017101200091.html

教育無償化の”不都合な真実” 週刊プレイボーイ連載(307)
http://www.tachibana-akira.com/2017/10/7758

全然関係ないけど、AERAって朝日なんだね。URL貼り付けて初めて知った。

おわりに

みなさん、衆院選の投票先は決まりましたか?
もう期日前投票に行った人もいるかもですね。

その地域によっても候補者が違うので、その演説を聞いたりして決めるのもいいと思います。

一応、衆院選の争点を考えようシリーズは、これでひとまず終わりにしようかなと思いますー。
いろいろ調べて、とても勉強になりました。

読んでくれた方々、どうもありがとうございました〜!