【書評】「ある男」平野啓一郎:「マチネの終わりに」で有名な著者の話題作

  • 2020年3月4日
  • 2020年3月4日
  • 読書

こんにちはー。くまぽろです。

2020年の4冊目。
平野啓一郎さんの「ある男」。
本屋でもよく見かけた話題の本です。

スポンサードリンク

ある男

ある男

著:平野 啓一郎(ひらの けいいちろう)

★★★★★

LINEノベル無料で1日3話ずつ読める作品だったので、読んでみました。
「マチネの終わりに」も有名で名前は知っていたのですが、平野啓一郎さんの作品を読むのは初めてです。
 
 

あらすじ

愛したはずの夫は、まったくの別人であった。

—「マチネの終わりに」から2年、平野啓一郎の新たなる代表作!

弁護士の城戸(きど)は、かつての依頼者である里枝(りえ)から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。
長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐(だいすけ)」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。

ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。
悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。
里枝が頼れるのは、弁護士の城戸だけだった。

人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を背負っても、人は愛にたどりつけるのか。「大祐」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。
人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品。

「ある男」特設サイトより引用

感想(ネタバレなし)

「愛にとって、過去とはなんだろう?」

「ある男」のこのキャッチコピー、めっちゃ良いですよね。
表紙の絵も謎めいてる感じと不穏さが相まって、すごく興味を引きます。
 
 
自分の夫が事故で死んで、そのときに初めて、名乗っていた名前も語っていた過去も嘘だと知ったら…。
なぜ嘘をついていたのか。本当は誰なのか。いっしょに幸せに暮らしていたはずなのに…。

物語は弁護士の城戸を軸にして、少しずつ謎を解き明かしながら進みます。

話の内容も衝撃的でおもしろいのですが、それ以上に登場人物の心理描写がすごく緻密で、「本を読んでいる」というより「ドラマを見ている」ような感覚になります。

ささいなことの積み重ねで仲がこじれたり、ふと魔が差しそうになったり、静かな夜に自分の幸せを噛み締めたり。
なんだか本当に合った話なんじゃないかと思ってしまいました。

というか、一番最初に作者が城戸から話を聞いているシーンから始まるので、もしや実際元ネタがある…?
 
 
城戸はこの「ある男」の人生を追い、それを見つめることで、自分の人生のことも見つめ直します。

自分という存在って、性格とか能力とか好きなものとか、自分を形作るいろんなパーツが揃ってできてると思うんですが、どんどん歳をとるにつれ、「過去の積み重ね」というのも大きなパーツになっていきますよね。

別人の過去を自分のものとして語ったら、少しずつ自己暗示のように自分もその「嘘の思い出」に合わせて変わっていったりするのかな…。
ちょっと想像すると薄気味悪くて怖いです。笑
 
 
平野さんの他の作品もLINEノベルの無料ラインナップに入っていたと思うので、興味のある方はぜひ〜。

以上!