こんにちはー。くまぽろです。
今回は再読本です。
大好きな作家の一人、森博嗣さんの「女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN」を紹介します。
「女王の百年密室」森博嗣
女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN 百年シリーズ (講談社文庫)
著:森 博嗣(もり ひろし)
★★★★★
たぶん大学時代(?)に読んでから、ずっと本棚に眠っていたのを、引っ張り出してきてひさしぶりに読みました。
高校生のときに「すべてがFになる」を読んでから、大好きになった森博嗣さんの作品。
ちょっと前にWikipediaを見ていて、「読んでない本たくさんあるな〜、制覇していかねば」と思い立ちました。
(S&MシリーズとVシリーズは全部読んでますが、あとはいろいろ虫食い状態)
「もう内容はほとんど覚えていないけど、百年シリーズすごい好きだった気がする!てか、3冊目出てるじゃん!」
と気付き、まずは思い出そうと1作目から再読しはじめた次第です。
では、あらすじ(ネタバレ無し)行ってみよ〜。
あらすじ
小型飛行機で見知らぬ土地に不時着したミチルと、同行するロイディ。
ロイディは、人間そっくりに見える機械・ウォーカロンだ。
ミチルたちは、森の中で孤絶した都市に辿り着く。
そこは女王デボウ・スホが統治する、穏やかで豊かな、楽園のような国だった。
しかし、歓迎のパーティの夜、王子が殺される。完全なる密室殺人だ。
誰が、どうやって殺したのか、ミチルとロイディは推理をしはじめるが、楽園の住人たちは「殺人」という事実すら認めようとしないーーー。
感想
最初に読んだときも、他の森作品とは違って、SF要素が強めな世界観が印象的だった。
そう、帯には「ミステリィ」と書いてるんだけど、ミステリというよりはSF色が強いと思う。
主人公のミチルとロイディのキャラも良い。
ちょっと気分屋なミチルに、生真面目に対応するロイディがかわいい。
登場人物のセリフがたまに詩的で謎なんだけど、解釈してる人とかいるんだろうか、気になる。
舞台となっている楽園、ルナティック・シティは作られた都市。
誰も「死なない」という信仰を住民みんなが持っている。
「生きている」とはどういう状態をいうのか、というテーマが、話を通してずっと底に流れているのだけれど、最後にそれを目の前に突きつけられる感じ。
『屍者の帝国』(著:伊藤計劃、円城塔)で、「魂の重さは21g」って出てきたのをふと思い出した。
いつか死ぬとき、今こうやって考えたり書いたりしてる自分の意識が消えるって、当たり前のような、不思議なような。
「生きている」っていうのは、その人の精神が存続していて、何かしらの意思を他の人(や生き物)に伝えられる(言葉、目、しぐさ、文章などで)、ということかなぁ。
精神が存続しているだけで、本人は生を感じられるかもだけど、周りの人から見てわからなければ、周りの人はその人が生きているか判断できないもんね。
そうすると植物状態は生きていないのか、という話になるけど、元に戻るかもしれない、という期待があるから、「まだ」生きているんじゃないかって望みをつないでいる状態と言えるかなと思う。この作品中の「死なない」という概念も、まぁ同じと言えるかな。
しかし、こうやって考えてみると、脳や生命維持のための機能が修復されたとしても、一度亡くなった命は戻らない、っていう事実が、不思議なことに感じる。
機械だったら、データベースの状態が全部リフレッシュされちゃって記録(=記憶)はなくなったとしても、機能自体は復活しそうなのに。
人間だって構成するものが有機的な物質なだけで、機械と言えないこともなさそうなのに。
・・・
なんだか、どこに行き着くのかわからないことを考えはじめてしまった。笑
いやー、やっぱおもしろかったです。
次は百年シリーズの2作目を再読しまーす。
以上!