【書評】『名医は虫歯を削らない』小峰一雄:虫歯も歯周病も「自然治癒力」で治す方法

こんにちはー。くまぽろです。

歯の詰め物がとれたときに、歯医者選びに迷って読んだ本を紹介します。
食の大事さと、現代医療の偏りや不誠実さを知った今、それを歯医者さんの視点から語ってくれて新しい気づきを得られました。

スポンサードリンク

「名医は虫歯を削らない 虫歯も歯周病も「自然治癒力」で治す方法」小峰一雄

名医は虫歯を削らない 虫歯も歯周病も「自然治癒力」で治す方法
著:小峰 一雄(こみね かずお)

★★★★★

虫歯を削らずに、食事を改善することによって治すことを推奨する本です。

著者は、現役の歯科医師である小峰先生。
埼玉で小峰歯科医院をやっていらっしゃって、実際の診療もこの本に記載している方針で行います。

・自然治癒力が虫歯を治す
・歯は削れば削るほど、もろくなる
・虫歯の9割は予防できる
・外国では虫歯を予防すると評価され、日本では虫歯を削ると評価される

など、日本に住み、日本の歯医者さんのやり方を当たり前だと思って生きてきた私たちには驚きの内容ですが、「自分の体は自分が食べたものでできていて、ほとんどの健康上の問題の根本原因は食事である」ということに納得されている方なら、歯についても同じなのだとすんなり入ってくると思います。

ちなみに、kindle unlimited対象本です!(2024年6月現在)

内容まとめ

虫歯は自然治癒する

虫歯になって穴が空き、神経が出てしまったところでも、外的刺激(甘いもの、冷たいものなど)を控え、根本原因を治せば、再石灰化して神経部分が自然にふさがる(完全に元通りになるわけではない)。

歯科医も大学でこれを習わないが、患者さんの歯に真剣に向き合っていれば自然治癒状態を見たことがあるはず。

歯は削れば削るほど、もろくなる

実は海外では、20歳以下の子どもの歯は削ってはならないというのが常識になっている。成長期の子どもの永久歯を削ってしまうと、30歳までに抜歯することになる確率が大変高い、ということが統計的に明らかになっているから。

一度削ってしまうとヒビが入ったような状態になり、脆く割れやすくなる
→割れると神経が出てしまい、神経を抜かなくてはならなくなる
→神経は歯に必要な栄養や水分を運ぶ働きをしているので、神経を抜く=栄養運搬ルートがなくなる、ということ。
→神経を抜いた歯はほとんど死んだ状態となり、残りも折れやすくなる折れた歯は抜くしかなくなる

歯を抜くと・・・

歯周病になる可能性が急激に高まる

歯を抜いて入れ歯やインプラントを入れても、自分の歯より噛みづらく、噛む力が弱まり、回数も減る。
噛む動作は、記憶に関わる海馬と呼ばれる部分を活性化させる働きがあるので、噛みづらくなると認知症になるなど老化が早まってしまう

また、歯槽骨しそうこつという歯を支えている周囲の骨が崩れ始め、隣の歯もぐらつき、顎の骨が徐々に吸収され始め、顔が老けたようになり、入れ歯も合わなくなる。

残された歯の本数が少なくなればなるほど、残された歯の寿命も短くなる

・髄膜炎、心筋梗塞、脳梗塞
歯を抜いたときにできた傷口から口内の細菌が血液中に流れ込み、菌血症になり、最悪の場合、髄膜炎、心筋梗塞、脳梗塞になることも。
(下記の象牙質の液体移送システムと関連)

・がん
ボーンキャビテーション(歯を抜いた空洞)に細菌が溜まり、その細菌を攻撃するため常に顆粒球を大量に作る。顆粒球を多く作ると代わりにリンパ球が減り、リンパ球はがん細胞等を攻撃する役割があるので、その機能が衰え、がんになることもある。

象牙質の液体移送システム

虫歯のでき方は、一般的には歯の表面で虫歯菌が増えて歯を外側から溶かす、と考えられているが、内側から進行する場合もある。それはなぜか。
「象牙質の液体移送システム」が関係している。

体内を流れている物質はやがて歯の神経を通り、歯の表面に出てくる。これが通常の「象牙質の液体移送システム」。
普通は体内から歯のほうへ液体が流れるが、偏った食生活やストレスなどで逆流する
逆流してしまうと、歯の表面から虫歯菌が内部に入って虫歯が進行する。また、その菌が体内に流れることで、歯以外の病気にもなりやすくなる。

この逆流を止めることが、虫歯予防&その他の病気予防になる

虫歯の主な原因は5つ

以下すべて、虫歯の原因=象牙質の液体移送システムの逆流の原因。

  1. 砂糖
    歯だけでなく身体中に悪影響。砂糖をやめれば虫歯の9割を予防できる
  2. ストレス
    動物実験で、糖を与えることなく、代わりに音を立てて眠らせないでストレスを与えたところ、それだけで虫歯ができることがわかった。
  3. 運動不足
    運動不足だと低体温&血行不良になりやすい。体温が1℃下がると、免疫力が30%低くなる。
  4. 微小栄養素(ビタミン、ミネラル)不足
    ブドウ糖の濃度が急に上がることを防ぐのが、ビタミン、ミネラル。現在は”質”の栄養失調時代。
  5. 薬物
    薬を飲んでいる人は虫歯が多い。薬=異物と体が認識して、液体移送システムが逆流しやすく、口が渇き、口内の細菌が増える。

歯磨きは意味があるか

WHOは「歯磨きの頻度と虫歯の少なさに明確な相関関係があるとはいえない」と言っているらしい。

食後30分以上経ってから歯磨きをしたほうがいい。
食後すぐだとエナメル質がやわらかくなっているため、削ってしまい、むしろ悪影響。

感想

上記まとめ以外にも、削らない代わりの虫歯治療や体の抗酸化について、虫歯・歯周病と体の別の部位の病気が関連している話など、とても面白かったので、知りたい方はぜひ本書を読んでみてください。

読みながら、「砂糖中毒だったのをやめられて本当によかった」と思いました。。(T_T)
今も完全にとっていないわけではないんですが、以前摂取していた量からは激減させることができました。

そして、本を読んで感動した私は、なんと実際に「小峰歯科医院」に行ってきました!
歯の詰め物がとれたところや、他の虫歯が多少ある部分をどうするか悩んでいたので、診てもらいたくて。

というわけで、ここからは診察のお話です。
 
 
診察の最初に唾液のpHを測りました。
(予約の電話時に、「来る1時間前からは食べ物/飲み物とらないでください」と言われてました)

結果は7.2
とても良い数値とのことでした。体が酸化しているほど数値が低くなり、6以下などはかなりまずいらしいです。

続いて体温も計測。私はだいたい平熱36.5〜36.7℃くらいで、そのときも大体それくらいだったはず。
これで「ちょっと低めだね」と言われて驚きました。pHが高かったので体温も高いかな、と思ったそうです。
平熱は37℃くらいあるのが理想的とのこと。ほえぇ。

そして、口内の状態をチェックします。
「pHや体温は健康的だけど、虫歯はけっこうあるね」と。

これは自覚ありました。前はすごく甘いもの大好きで、めっちゃ食べてたので。
でもそれをやめてから、おそらくそんなに虫歯が進行してないように思います。

治療は、本書でも紹介されているドックベスト療法という殺菌処理だけ。
そのドックベストなるものを虫歯部分に塗るだけです。まったく削りません。削らないから麻酔ももちろんしない。
「詰め物取れたところはそのままでもいいんだけど、高さ合わないのが気になるなら」と、プラスチック的なものを塗り固めて調整してくれて、はい終わり。

治療はこれだけ。ここから食事の話が始まります!
そこはほとんどお金にならないのに(食事改善して虫歯にならなくなったら、歯医者に来なくてよくなっちゃうし・・・笑)、丁寧に説明してくれて、良いお医者さんというのはこういうものだと、しみじみ思いました

食事の気を付ける内容は紙にまとまっていて(持ち帰れる)、これまでの診察した情報から、その人の体の傾向に合わせて重視すべき点を説明してくれます。

小峰先生は今もなお、歯だけでなく栄養などの勉強もし続け、学会等に参加し、研究も続けていらっしゃるようで、そういったお話も少し聞くことができました。
 
 
一度こういう歯医者さんにかかってみると、食事改善の話を重要視していない歯医者さんっておかしいのでは・・・?と気づいてしまいますね。
生活を見直して根本を改善しなくては、また繰り返すだけですから。

でも私も昔はそういうことに気づけなかったし、同じように対症療法ばかり繰り返している方は、とっても多いんじゃないかと思います。
そういう方の気づくきっかけを少しでも増やせるように、私も学び続けて発信を続けていきます。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
以上!