【マンガ評】「コレットは死ぬことにした」幸村アルト:神様と人間の恋

こんにちはー。くまぽろです。

ひさしぶりにマンガを読んで号泣しました。
こんなに心に残るなら、ブログに残すべきでは・・・!

ということで、初めての漫画評です!
少女マンガの『コレットは死ぬことにした』を紹介します〜。

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「コレットは死ぬことにした」幸村アルト

コレットは死ぬことにした
著:幸村 アルト(ゆきむら あると)

★★★★★

たかが少女マンガと言う勿れ!
恋愛だけでなく、家族への愛情、仕事に対する誠実さ、仲間への信頼など、何もかもが詰まっている素敵な作品です!

上のリンクはAmazonのページですが、いろいろなマンガアプリやサイトでかなりの部分が無料で読めます!
わたしはピッコマで読んでました。

全部で20巻+番外編が1巻あります。
(番外編はまだ読めてません)

あらすじ

主人公コレットは、薬師くすしとして働く女の子。
村には彼女しか薬師がおらず、患者がひっきりなしにやってきます。

寝る間もごはんを食べる間もなく、疲れ果ててしまったコレット。
「井戸は別の世界につながっている」という伝説が頭をよぎり、ふらっと井戸に飛び込んでしまいます!

目が覚めると、そこは見たこともない世界。
なんと井戸は、死者の魂が辿り着く場所、冥府につながっていました。

冥府の王ハデス様は病気を患い苦しんでいました。
見るに見かねたコレットは、彼を治療することになって・・・。

感想

途中までなら読んだことはあって前から好きだったんですが、つい最近、最初からまた読み直して最後まで読み切って、「めちゃくちゃ良い!!大好きだ〜!!」と思うようになりました。

想像しやすいように、メインの二人、コレットとハデス様だけ簡単に紹介しますね。

主人公のコレット。薬師で、働き者で、すごく元気な女の子です。


(出典:https://amzn.to/3HKSDIl(一枚目)、https://www.pinterest.jp/saruka2ga1000/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AF%E6%AD%BB%E3%81%AC%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%9F/(二枚目))

こちらが、冥王のハデス様。寡黙で真面目な人です。
人が死んだら魂は冥府に行き、そこでハデス様の裁判を受けて、天国行きか牢屋行きか決まります。


(出典:https://books.rakuten.co.jp/rb/16167497/(一枚目)、https://manga-channel.xyz/2019/11/25/post-3244/(二枚目))
 
 
さてさて、このマンガのどんなところが良いかと言いますとですね…

  • 世界観、キャラクターなどの設定が良い
  • キャラクターの心情の変化や、成長していく過程がちゃんと描かれている
  • 自分の現実の生活もがんばろうと思える
  • シリアスもあるし、笑いもある。バランスが良い

 
 
まず、1番目。
世界観、キャラクターなどの設定が良い。

どのキャラも強さも弱さも持っていて、それを抱えて生きていく、というのが一貫して描かれていて、とても好感が持てます。

上のキャラクター紹介でも書いた通り、二人とも仕事熱心で責任感があり、だからこそ相手の仕事とそれに向かう姿勢をとても尊敬しているんですよね。
人として(あ、ハデス様は神様としてか)の信頼や共感を通して、相手を好きだという気持ちにつながっていくのが、ほんと素敵です。

だけれど、二人が自分の気持ちに気づいていくのと同時に、神様と人間の恋であることもまた浮かび上がってきます。
神様であるハデス様は永遠の命を持つ一方、人間であるコレットは歳をとっていずれ死んでいくわけです。

しかもハデス様は、死者を裁き、見送る神様。
死者は天国行きになると、お花畑の中で一定期間過ごしますが、だんだんと現世の記憶を失っていき、記憶が完全になくなると、そこから消え、新たな生を受けるようです。

いつかコレットも死んでしまうし、自分のことを忘れてしまう。
好きになり始めた頃から、すでにそれを知っているんです。

一方のコレットも、村の女性の出産を手伝ったり、弟子の女の子と結婚について話したりして、そういう普通の恋愛の先にある生活はハデス様とできない、ということがわかってきます。

これが最初から決まっているという設定の良さよ…!

最終的に二人がどうなるのかはぜひぜひ読んでほしいところですが、ラストに近づくと号泣で顔面が崩壊するので気をつけてください。
わたしは電車の中で最終話の数話前から読み始めてポロポロ泣いてしまい、電車から降りた帰り道で先を想像して泣きながら歩き(不審者)、家に帰って最後を読んで号泣しました。

そして、いろいろ考えた末、「旦那がわたしを看取って一人になるのを想像すると可哀想で無理だから、わたしが長生きして旦那を看取るわ(;_;)」という結論に至りました。笑
 
 
はい、次!
キャラクターの心情の変化や、成長していく過程がちゃんと描かれている。

これがほんとに大きい!
どんなに設定が良くても、キャラの心情を丁寧に描けないと、ハリボテでスカスカなものになってしまいます。

最近のアニメってそういうの増えてませんか?

例を言うと、大流行した『鬼滅の刃』とか。
マンガは読んでなくてアニメだけ見ましたが、設定やプロットだけでキャラクターが動いているように見えてしまうんですよね。
「そういう心情だったらそういう行動にならなくないか?」とひっかかってしまう場面が度々あるように、わたしは感じました。

炭治郎が「禰豆子は自分の命に代えても守ってみせる!」と思っているはずなのに、箱に入った禰豆子をひなたに放置して戦いに行く場面(屋敷の中で、太鼓を叩くと部屋がぐるぐる回る鬼と戦う直前)、覚えてます?
(鬼滅見ていない方、すみません)

禰豆子は陽の光を浴びたら死んじゃうのに。あんな縦長な箱に入っていて不安定そうに見えるのに、縦の状態でひなたに放置。

危なすぎるでしょ!絶対そんなことしないから!
そういう違和感を感じるシーンが多々あって、気になりすぎました。

出来事をおもしろそうに描くことがメインになっていて、感情が置いてきぼりで、出来事>感情なんですよね。

コレットに話を戻すと、もちろんいろいろ出来事は起こるんですが、その中でキャラが何を思うのか、何に悩んで、結果どうするのか、出来事<感情なんですよね。
やっぱりそういう話はぐいぐい没入できて、いっしょに泣いたり喜んだりできます。

そうやってその世界に入っていっしょに体験すると、コレットのがんばりを見て、自分の現実の生活もがんばろう!と思えます。

『コレット』の場合はそれに加えて、ハデス様に見られて恥ずかしくない人生を送ろう!という気持ちも湧きます。
日本人的な「お天道様が見てるから悪いことしちゃいけない」と同じような感覚ですね。
 
 
あと、他のキャラクターも愛すべきやつらで、とっても楽しめます。
冥府でハデス様に仕えるガイコツ達は特に好きです。


(出典:https://piccoma.com/web/viewer/17584/772630)

コレットの後ろにいるやつらです。
「ほんとに少女マンガなの」って見た目をしていますが、彼らもまた仕事熱心で、ハデス様の身の回りのお世話を誠心誠意やります。

そして、ハデス様のことが大好き。
大好きすぎて、裏でガイコツ同士でハデス様のことを話して、「あぁ!そういうところも尊いぃぃぃ!」って悶えてるんです(笑)。かわいいやつらだ。

メインストーリーの真剣な部分が一段落すると、こういう笑える話がやってきて、そのバランスが良いです。

ハデス様以外にも神様がたくさん出てくるんですが、彼らも良い味出してます。
ハデス様とは違って、テキトーだったり、はちゃめちゃだったりしますが、なんだか憎めません。
真理に迫ることをサラッと言ったりもして、なるほど、これが神様か、という妙な説得力があります。
 
 
というわけで、めっちゃ長くなりましたが、『コレット』への愛を語れてわたしは満足です。

ちなみに、『コレットは死ぬことにした』というタイトルは1話目を読み切りとして出したときのままらしく、その後の話には全くマッチしていません。
どちらかというと心温まる系のマンガなのに、タイトルは全然違う印象ですよね。笑
連載が決まったものの、しっくりくるタイトルが思い浮かばず、そのままで行くことにしたらしいです。

以上!
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!