こんにちはー。くまぽろです。
Amazonで半額分ポイント還元セールをやっていたときに、面白そう!と思って買ったkindle本、『量子力学で生命の謎を解く』を紹介します。
「量子力学で生命の謎を解く」ジム・アル・カリーリ、ジョンジョー・マクファデン
量子力学で生命の謎を解く
著:Jim Al-Khalili(ジム・アル・カリーリ)
著:Johnjoe McFadden(ジョンジョー・マクファデン)
★★★★★
渡り鳥であるヨーロッパコマドリは、どうやって行き先を判断できるのか?
そして、どうして元いた場所にまた帰ってこられるのか?
素朴だけれど奥が深い疑問に、生物学+量子力学で切り込んでいく本です。
その他にも植物の光合成のしくみ、魚が産卵時に生まれた場所に帰る方法、人間の嗅覚の仕組み、量子コンピュータ、そして心とは意識とはどこから生まれているのかなど、話題は多岐に渡ります。
話は少し難しめですが、生命のふしぎの深淵を覗けて、すごくおもしろいです!
内容紹介
サケはなぜ3年間の航海を経て、生まれた場所にもどれるのか。
我々の意識はどのように生まれるのか。そして、生命の起源とは。
量子力学が明らかにする生命現象の畏るべき秘密。
(以下、目次)
第1章 はしがき
第2章 生命とは何か?
第3章 生命のエンジン
第4章 量子のうなり
第5章 ニモの家を探せ
第6章 チョウ、ショウジョウバエ、量子のコマドリ
第7章 量子の遺伝子
第8章 心
第9章 生命の起源
第10章 量子生物学:嵐の縁の生命
—Amazonより引用
感想
「本書の中心テーマである科学最大の疑問とは、次のようなものだ。
岩石のなかに存在する生きていない原子や分子がいったいどのようにして、走ったり飛び跳ねたり、空を飛んだり渡りをしたり、泳いだり成長したり、愛したり嫌ったり、欲望を示したり恐れおののいたり、考えたり笑ったり泣いたりする生きた代物に日々姿を変えているのだろうか?」
上記は、本書からの引用です。
簡単に言うと、炭素や水素などの部品が組み合わさったものが、どうして生命として活動できるのか、というまだまだ科学が答えに辿り着かない疑問に対して、どんな研究が進んでいるかを紹介してくれています。
量子力学についての基本的な(だけど一般の感覚からするととても不思議な)性質についてもきちんと解説があります。
たとえば、最初に出したヨーロッパコマドリの例では、なぜ渡りの行き先がわかるのかというと、地磁気(地球が発している磁気)を目で感知できるからだそうです。
南から北に→のように磁力線が出ているのが見えるから、方角がわかり、目指す方向がわかると(磁気が見えるってどんな見え方なんだろう)。
これまではその地磁気という非常に弱い磁場をどうして感知できるのかが謎でした。
しかし量子力学を生物学に取り入れることによって研究が進み、量子のスピンの重ね合わせ状態と量子もつれによって説明ができる!ということがわかってきました。
現状ではわたしには、これ以上深くてわかりやすい説明ができませんが(笑)、本書ではもっと丁寧に量子力学の説明も、その性質が生物のどこでどう応用されているのかも解説されています。
そもそも話が難しいので、めちゃくちゃよくわかる!とまではいきませんが、なんとなく仕組みがイメージできてとてもおもしろいです。
他のテーマもどれも興味深かったです。
嗅覚の話では、
「サメは脳の三分の二以上を嗅覚に使っており、一キロ以上離れたところに血を一滴落としても匂いが分かる」
とか単純に雑学としても「へえぇ」とおもしろいのに、その嗅覚によって魚は生まれた場所に戻れるとか、その嗅覚の仕組みにも量子のふるまいが関係しているとか、掘れば掘るほどおもしろさが増します。
そしてそして、一番のおもしろさはやっぱり、人間の意識の話!
意識は、1つ1つの情報を結びつけて観念としてとらえることができる(例えば、牛という動物を見て認識できるだけではなく、それに付随してイメージを持ったり、関連する記憶を呼び覚ましたりできる)けれど、この「結びつけ」はどこでどうやってやっているのかという難問があります。これを「結びつけ問題」と呼んでいます。
神経に流れる電気信号によって、脳全体には独自の電磁場が発生しているんですが、この電磁場はこれまでは、脳活動の副産物であって脳活動そのものに影響を及ぼすことはないと考えられていました。
しかし最近、この電磁場が「結びつけ問題」と関わりがあるのでは?と考えている科学者の方がいるそうです。
たしかに意識って脳の具体的な箇所で動いているって感じがしないので(ただ直感的にそういう気がするだけだけど)、脳自体じゃなく、そこに生まれる電磁場が意識かもって考えたら、わくわくが果てしなく広がりました。はあ〜、すご〜い。
こんな感じで、ものすごくおもしろいので、興味がある方はぜひぜひ読んでみてください!
理解したりイメージしたりしながら読んでいくと、なかなかに時間がかかりはしますが、楽しい知的探検を味わえます。
以上!