【書評】「点と線」松本清張:硬派なミステリに見る考え抜く力

  • 2022年10月30日
  • 2022年12月18日
  • 小説

こんにちはー。くまぽろです。

ミステリ好きなら誰もがその名前を聞いたことのある松本清張。
今回初めて読んでみました。

不朽の名作、『点と線』を紹介します!

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「点と線」松本清張

点と線
著:松本 清張(まつもと せいちょう)

★★★★☆

めちゃくちゃ有名な松本清張。
いつかは読まねばと思っていました。

ほんの小さな疑問を出発点に、緻密な計略を刑事が一つ一つ暴いていくミステリです。

あらすじ

ミステリ好きなら名前を知らぬ人がない名作です。

舞台は昭和三十年代。
福岡市香椎の岩だらけの海岸で寄り添う死体が見つかったのは、汚職事件渦中にある某省課長補佐と料亭の女中。
青酸カリ入りのジュース瓶が残され、警察ではありふれた心中事件と考えた。

しかし、何かがおかしい──と福岡の老警官と東京のヒラ刑事は疑問を抱く。

うたがわしい政商は事件当時、鉄道で北海道旅行中。
そのアリバイは鉄壁だった────時刻表トリックの古典にして、今も瑞々しい傑作ミステリ。

Amazonより引用

感想(ネタバレなし)

前知識は「時刻表トリックの古典」ということだけで読み進めました。

印象としては、今まで読んだミステリ作品の中でも一番硬派!

基本的に刑事の目線を淡々と追っていき、一つ事実がわかってヒントを得たかと思えばまた立ち止まり、そしてまた閃きがあり前進する、という感じです。
渋いけれど、入念に追っていく過程が楽しいです。

『点と線』というタイトルも、その中身にふさわしくやはり硬派でかっこいいですよね。
一つ一つは微かな点だった疑問が、だんだんだんだん繋がりが見えてきて線になる。

実際の犯罪捜査もこういう要素が多分にあるんじゃないでしょうか。
(犯罪者のほうがここまで緻密にアリバイづくりをしていることはなかなか無いと思いますが。笑)

小さな違和感を蔑ろにせず、「もしかして」という仮説を立て、それを検証できるデータを集める。
「想定と違う、なぜだ」と悩んでも諦めずに考え抜く力、これがこの話の魅力かもしれません。

こう考えると、学術的な探求なんかも同じかも?
小さな点をきっかけに、線や面を見出す根気のいる仕事。
そういうの、良いなぁ。憧れます。

いろんな本を読んでいると、自分の認識できる世界が広がって、点と点が線になる喜びがあって楽しいんですよねぇ。

そういえば、いま並行して『徒然草』を読んでいるのですが、この『点と線』のとある箇所で徒然草が出てきて、ちょっと運命的でびっくりしました。
全然関係ない本なのに、たまたま並行して読んでいる本が出てくるとは!

「たくさんいろんな本を読もう」と意識的に読書するようになってから、そういう小さな符号に出会うことが増えました。
自分の幅が増えて、楽しめる幅も増えている気がします。そういう一つ一つが楽しいです。

余談ですが、「点と線」と聞くと、わたしはスティーブ・ジョブズの有名なスピーチの言葉「Connecting the dots」も思い出します。
あれはちょっと意味合いが違って、「自分のこれまでの経験が関係ないものと思っていても、ある日唐突にそこに意味が見出されるときが来る」といった話ですが。

話がどんどん違う方向になってきてしまいました。笑
今日はこんなところにしておきます。

以上!