【書評】「迷宮百年の睡魔」森博嗣:百年シリーズ第二作、ネタバレなし

  • 2021年7月30日
  • 2021年7月30日
  • 読書

こんにちはー。くまぽろです。

三作目『赤目姫の潮解』を読む前に、百年シリーズを再読中。
『女王の百年密室』に続き、『迷宮百年の睡魔  LABYRINTH IN ARM OF MORPHEUS』を紹介します〜。

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「迷宮百年の睡魔」森博嗣

迷宮百年の睡魔 LABYRINTH IN ARM OF MORPHEUS 百年シリーズ (講談社文庫)

著:森 博嗣(もり ひろし)

★★★★★

百年シリーズは、ミステリー(森さん流の表記だとミステリィ)というよりは、SF要素強めです。
人間そっくりの機械・ウォーカロンが社会に浸透している世界。

本作では、主人公のミチルと、相棒のウォーカロンのロイディが、100年間外部からの取材を断ってきたイル・サン・ジャックという島を訪れます。

では、あらすじ行ってみよ〜。

あらすじ

周囲の森が一夜にして海と化したという伝説をもつ島イル・サン・ジャック。
22世紀の旅人ミチルとロイディがこの島で出会った「女王」は、かつて別の地に君臨した美しき人に生き写しだったーー。

王宮モン・ロゼで発見された首のない僧侶の死体、犯人と疑われたミチル、再び消えた海と出現した砂漠。

謎に満ちた島を舞台に、宿命の絆で結ばれた「女王」とミチルの物語の第2章がはじまる。

ーー本の背表紙より引用

感想

イル・サン・ジャックは、名前的にも描写的にもモン・サン・ミッシェルがモデルなんだろうな。

舞台の視覚的な設定も、百年と閉ざされた島っていう雰囲気も、周囲の森が一夜にして海になった伝説も、何もかも魅力的で好きです。

事件の種明かしは、このシリーズらしく、一般のミステリーを予期して読んでいる人には、ぶっ飛んでいると思われる気はします。
でも、わたしにとってはこの上なく納得する結論だった。なんかそんな気はしてた、というか。
 
 
前に読んだときより実際の世界の技術が進歩しているのを日に日に感じるので、この百年シリーズの世界の技術について、ふとしたところで真剣に現実的に考えさせられたりします。
ネタバレになっちゃうので詳細を書けないけれど、もし本当にこの世界が目前に迫ってきたら、精神的に受け入れられる自信がないかもしれない…。
 
 
それから森作品には、ちょっと自分と同じ人類とは思えないような知性を持った女性がよく登場します。
今回の作品では、イル・サン・ジャックの女王、メグツシュカがそう。

ミチルと彼女との会話が良いんです。やっぱり森作品の一番の魅力は、キャラ同士の会話なんですよね〜。
一言一言が、スパッスパッと音がしそうなくらい、切れ味がよくて簡潔なのに、こちらが考えさせられる量がすごい。笑

「不思議とはつまり、将来の理解への予感」

メグツシュカの発言。雲間から光が指すみたいに、知らないことを解き明かしていく科学の光を感じる、かっこいい言葉だなぁと思いました。

でも、不思議がなくならないでほしいという矛盾した気持ちも同時に湧きます。
謎の答えを知りたい一方で、解けない謎も残っていてほしいんだよなぁ。
 
 
最後に!
ミチルとロイディの会話が本当に楽しかったので、個人的に「ロイディかわいい。笑」と思ったシーンを、いくつか抜粋して締めたいと思います。

ロイディがSF映画やマンガに出てくるアンドロイド(ただし、見た目は人間そっくり)だとイメージした上で、読んでください。

ロイディは充電式

充電をしながら、パトリシアという女性型のウォーカロンに会った後ーー

ミチル「気に入った?」僕はきいてやった。
ロイディ「何が?」
「彼女がさ」
「親切だった」
「気に入ったかってきいてるの」
「質問の意味がわからない」
しょうがない奴……。
しかし、今はロイディしか頼りになる者はいない。
「充電はどう?」僕はきいた。
「そちらは、大いに気に入っている」

電気大好きロイディ、かわゆい。

温度と湿度

ロイディ「これ以上、考えても無駄だ」
ミチル「冷たいな」
「判断に温度は関係ない。しかし、以前にミチルは、湿度で私を評価したことがある」
「ドライだって言ったこと?」
「そうだ」

冷たくて乾いたロイディ、かわゆい。

理由が知りたい

ミチル「僕がうんって言うわけないもの」
ロイディ「どうして?」
「いいの、そんな話は!」
「何故、怒っている?」
「怒ってなんかいないよ」
「怒っていることは明らかだ。私には理由がわからない」
「わからなくてもいいの」
「そうか、秘密なんだな」

秘密を学習するロイディ、かわゆい。
 
 
以上!
さ〜、ようやく次はシリーズ最終作の『赤目姫の潮解』だ!わくわく!